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  3. モンキー・パンチインタビュー

昨年末のお忙しい中、漫画のこと映画のこと、そして新たな創作活動のアイデアなど、普段思うところを語っていただきました。

――あと半月で2015年も終わってしまいますね。

モンキー・パンチ(以下、モンキー):早いね、しかし。つい最近みたいに感じるんですよ、成田に行って初詣したの。

――1年前じゃないですか!! 確かに終わってみればあっと言う間でしたね。

モンキー:早いね。坂道を転がる如くだよ。2016年で79歳、2017年で80歳か。

――そうですね。『ルパン三世』も49年、そして50周年です。

モンキー:80歳っていうのも嫌だね、大台だもの(笑)。昔は人生50年って言ってたけど、今は80年なんだもんね、人生80年。

――平均寿命が80歳を超えましたからね。これからですよ、先生。

モンキー:いやいや、これからも何も、何もしたくないな(笑)。好きなことをやってたらいいって言っても、考えてみるとそれほどないですよ(笑)。

――先生は既に色んなことをご経験されてますからね。"ユーチューバー"とかどうですか?(笑)。

モンキー:ははは(笑)。

――今や素人が動画をアップロードするシステムが一大経済活動になりましたね。

モンキー:そうだねぇ。頭の良い人は、そういうのをちゃんとお金にしてるもんなぁ。それはやっぱりすごいですよね。もっともっとインターネットを利用した色んな方法が出てくる可能性があるでしょうね。

――ですね。これからは我々もそういうのをやっていかないと、どんどん置いてけぼりになってしまいます。

モンキー:漫画雑誌なんかでも、やっぱりインターネットを無視してはできないっていうところはありますね。

――弊社でも「WEBコミックアクション」や双葉社公式アプリ「マンガリーフ」などを始めたりしていますしね。

モンキー:あるものはどんどん利用した方がいいんだよね、確かにね。ただ利用の仕方っていうのは、頭を使わなくちゃならないだろうけどね。

――人の興味を引くものを作り上げるというのはなかなか難しいことでもありますよね。漫画もしかりですが。

モンキー:大学でも講義するんだけど「売れてる漫画と売れてない漫画の違いはどこにあるか」っていうのは、漫画の良さというか面白さというか、それを自分なりに発見できたか出来ないかなんだよね。例えば、自分なりに考える漫画の面白さというのを見つけた人の作品っていうのが評判になって、見る方も新しい感覚で見れる。逆に描く側が漫画の面白さを知らないで人のを真似て描いていれば、それは評判にも何もならないんだよね。当たり前だけど漫画の面白さがどこにあるのかっていうことは、描く漫画家によって違うわけですからね。それが、漫画家が持っている個性になるわけだから、同じような考え方ではダメなんだよね。極端ではあるけど、さいとう・たかを先生が持つ漫画の面白さと、藤子不二雄さんが持つ漫画の面白さは違うわけでしょう。それくらいの違いが個性になっているわけです。これから漫画家になる人たちが考えなくちゃいけないっていうのは、そこにあると思うんだよね。

――「自分なりの売り」というか特徴を自分で考えなくちゃいけないってことですね。

モンキー:そうそう。だから、僕は僕なりの漫画の面白さっていうのはこういうところにあるんだっていう、自分なりの発見があったからルパンを描き始めたんだよ。ところがね、口で言うのは簡単なんだけど具体的にどうすればいいのかっていうのが難しいんだよ。法則もないしね。

――感じるしかないと。

モンキー:感じるしかないんだよね(笑)。その漫画の面白さが読者の共感を得れば、その漫画は面白い漫画として評価されるっていうかね。とにかく読者の共感を得られなかったら、それは自己満足でしかないからね。

――ひとりよがりの。

モンキー:そう。そこのところなんだよねぇ。その部分をこれから漫画を描く人はもちろん、漫画に慣れている人たちも自覚しないとダメだよね。「面白さとは何か?」ってのを分析してみてもはじまらないんだよね。

――そうですよね。論理的なものじゃなくて感覚的なものですからね。

モンキー:「漫画の面白さとは何だ」って論文を書けって言われても書けないよ。漫画の面白さはコマ割りや台詞などの技法というか、そういう色んなものをひっくるめて、表現するわけですからね。これは自分で感覚的に掴むしかないことなんだよ。

――難しいですよね。形なんてないですからね。

モンキー:そこのところがね、教える側のネックでもあるんだよね。だからテクニックや技法など、漫画の描き方は教えられるけど、それ以外のことを教えようとすると難しいなと。漫画の描き方を学ぶことも十分勉強にはなるけど、それだけだとそれ以上は伸びないんですよね。

――学べる部分は、あくまでも基本ですからね。

モンキー:漫画を描くコンピュータ用のソフトもあるけど、あれは確かに便利なんだけど、それを使ったからって面白い漫画を描ける訳じゃないからね。

――自分で勉強するしかないですよね。

モンキー:勉強するっていうか、自分なりに発見するしかないんですよね。そのためにどうするかっていうと、色んなものを見たり聞いたり、映画を観たり本を読んだり、色んな体験をしたりっていうのが肝心なんだろうね。

――いくつかアイデアの引き出しを持っておかないといけないってことですよね。

モンキー:そうそう。いざプロになると、その引き出しもあっという間に枯れちゃうからね。漫画っていうのは考えると奥が深いですよ。

――漫画家さんは映画をたくさん見た方がいいとよく言われますが、先生は引き続き洋画のDVDはネットで買われているのですか?

モンキー:うんうん。Amazonはすごいんだよ。日本で発売前の洋画でどうしても観たいのがあったら、海外のAmazonで買うんだけど、在庫があれば3日とかで届きますよ。

――それはとても便利ですね。

モンキー:どうしても早く観たいって思うからね。字幕や吹き替えがないと細かいところは分からないにしても、ストーリーは観てれば分かるだろうしね。内容をザックリと把握するだけなら字幕無しでも十分だよね。

――映像と音で楽しむわけですね。感性が研ぎ澄まされそうですね。ところで『ルパン三世』のアニメが放映中ですが、あらためてご感想はいかがですか?

モンキー:見た。よくできてるねぇ! イタリアのお話、本当にいいわぁ。すごくいい。本当によくできてるなぁ。今の若い人たちの感覚っていいね。考えながら作ってるって感じがしますよ。だから、こっちから口を出すようなことは何にもないんだよね。この調子で自由に作ってくれって思いました(笑)。

――漫画アクションでもコミカライズが連載中ですので、そちらも合わせてよろしくお願いします。他に気になってる映像作品はありますか?

モンキー:最近、色んなDVDを観るんだけどね、「これは」って思うような面白いのはあまりないね。何ていうんだろうね、新しさがないっていうか、ビジュアル的に楽しみたいなって思っていても、楽しめるものが少ないね。なんか時間だけが流れていく感じがしてね。もうちょっと簡単なストーリーでもいいんじゃないかって思うんだよね(笑)。

――最近の作品は、新しいものを観せてもらったっていう気にはならないわけですね。

モンキー:そうだね。僕はとにかくビジュアル的に新鮮なものを観たいなって思うから、ストーリーは重要視していないんだよね。映画である以上は、見せ場のビジュアル的な部分が欲しいなって思うんだけど。『ベン・ハー』なんかは、ビジュアル的にはものすごく面白かったんだけど、そういうのが最近はないもんなぁ。サーカスの『シルク・ドゥ・ソレイユ』は、サーカスでありながらもビジュアルを含め独特の世界を見せているわけなんだよね。今の映画でも、ああいうのを描いてやってほしいなって気がするね、現実の世界とはかけ離れた別世界を見せてほしいというか。現実の世界なんてどうでもいいっていうようなものをね(笑)。

――ビジュアルで圧倒するような作品ということですね?

モンキー:そうだね。黒澤明さんの映画っていうのは、今でこそ当たり前だけど当初は斬新だったからね、ビジュアル的にも。『七人の侍』なんて本当に新しい感じだったよ。やっぱり時代の先を行く、ああいう新しさっていうものが、今はないよね。これは漫画でも言えるんだよ。先日お亡くなりになった水木しげるさんが登場したときなんか、今までにない新しいビジュアルと世界観だったからね。でも今の漫画にはそういった目新しい世界観の作品が少ないよね。漫画家である僕らも本当は気にしなくちゃならないんだけど。

――先生の描かれる世界観も素晴らしいですよね。

モンキー:いやいや、まだまだですよね。でもオールCGを使った漫画っていうのは興味があるんだよね。絵的にすごくいいものをね。一枚絵にしてもいいし、全体の流れの中の絵としても斬新で新しい絵だったら、それはそれでいいかなって。そんな世界があってもいいかなっていうね。そんなことを考えたことはありますけど、口で言うのは簡単で作るとなると難しいですが(笑)。「これだっ」ていう世界観があればいいんだけどね。例えば、全然別世界で活躍するルパンとかね。でも、その別世界ってどういうのかなって考えると、これがなかなか思いつかない。未来にするか現代にするかによっても変わってくるでしょうしね。過去にするとまた変わるでしょうし。未来もどういう形の未来にするか、現代でもいいんだけどね。現代でも別の世界に行っちゃったみたいな感じにしてさ。

――我々が見たことのない世界でルパンが活躍するのですね。是非50周年記念作品でお願いします(笑)。

モンキー:あははは。それはまたその時に(笑)。

――本日はありがとうございました。

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